前回は,改製原戸籍のお話をいたしました。
戸籍のさかのぼりについて,続けてお話ししたいと思います。
金融機関の相続手続にせよ,不動産の相続登記にせよ,基本的には亡くなられた方(「被相続人」といいます)の出生から(あるいは,結婚からとか,15歳以上からのものとか)死亡までの戸籍謄本を取得するように求められます。
出生時の本籍地がわかっているということの方が少ないでしょうから,亡くなられた時点のものからさかのぼっていくのが一般的でしょう。
今までにお話ししたように,本籍地は住民票で調べられますから,本籍地がわからない場合は,住民票を取得します。
その記載に基づき,本籍地の市区町村役場に,戸籍謄本を請求します。
その際,司法書士が請求する場合には,請求書に,「誰々(被相続人のことです)について,市区町村役場にあるものを全てお願いします」と記載しておきます。
そうすると,役所の人が,その請求のとおり,その役場にあるもの全てを発行してくれます。
出生時から本籍地に変更がなければ,これだけで全ての戸籍がそろうはずです。
結婚や転籍などで,一部しかそろわない場合は,取得できた戸籍謄本の中で最も古いものを参照します。
戸籍謄本の冒頭あるいは,被相続人の方の欄を見ると,「どこどこより,転籍」といった記載や,「どこどこ,誰々戸籍より入籍」という記載があると思うので,そこに書かれている本籍地(市町村合併などにより,請求先が変わっていることがあります)に改めて,戸籍謄本を請求します。
このような作業を繰り返して,被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。
また,不動産の相続登記においては,相続人の現在の戸籍も添付しなければならないので,それは別途収集しなければなりません。