遺言書といえば,一部の富裕層の方が残されるものというイメージをお持ちかもしれません。
確かに,そういう側面があったということは,否定しませんが,現在はもっと一般的なものとして,多くの方が遺言書を残されたり,または遺言書を残すことを検討されているように感じます。
遺言書は,自分が死亡した後に効力を発揮するものですから,極論すれば自分には関係のないものということになるでしょう。
しかし,残された遺族にとってみれば,遺産をどのように分けるかということについて,大変骨を折らなければならない状況が生じる場合もあります。
最近,遺言を残す人が増えてきている背景には,自分が親の相続をした際に,手間がかかったとという経験があるからかもしれません。
遺言書を残した方がいいと思われる状況について,お話ししたいと思いますが,その前に遺言書がない場合の相続手続を説明しておきます。
遺言書が残っていない場合,相続人全員が相続財産をどのように分けるかを相談し,遺産分割協議書を作成し(しない場合もあろうかと思いますが),それに基づいて,名義変更や解約の手続などを行います。
ところが,相続人全員が合意に至るということが,困難な場合も考えられます。それは①遺産の分け方で合意が形成できなかったり,②相続人の一部の人の所在が不明な場合や③相続人の中に判断能力が衰えている方がいて,分割の話し合いの内容が十分理解できないような場合です。
そういう色々な状況を踏まえて,次回以降はより具体的なお話をしていきたいと思います。